訳あり不動産の売り方

事故物件の告知義務とガイドラインの要点

内容の確認日: 2026年11月2日

事故物件の告知は、人が亡くなった理由と、その後の経過によって変わります。老衰や持病による死、日常生活の中の事故は、原則として告げなくてよいとされています。ただし特殊清掃が行われた場合などは別です。

この記事は、国土交通省が2021年10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」の内容を表にまとめます。そのうえで、売主が確認することを挙げます。法律の判断は、弁護士など専門家に相談してください。

ガイドラインの位置づけと対象

このガイドラインは、宅地建物取引業者(不動産会社)がとるべき対応の一般的な基準です。売主個人に直接向けたものではありません。ただし、不動産会社は売主に確認や書面の記入を求めるので、売主にも関わります。

国土交通省関連の建物
写真: Doricono / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

対象は、住宅として使われる不動産(居住用不動産)で起きた人の死です。オフィスなどで起きた事案は、対象外とされています。

ガイドラインは法律ではありません。対応しなかっただけで直ちに宅建業法違反になるものではないと、本文に書かれています。ただしトラブルになった場合、行政の監督で参考にされます。民事上の責任は個別に判断されます。ガイドラインどおりに対応しても、責任を回避できるとは限りません。

告げなくてよい場合

ガイドラインは、告げなくてよい場合を三つ挙げています。

団地の集合住宅
写真: Mr.ちゅらさん / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

表は左右に動かして読めます。

場合賃貸売買
自然死、または日常生活の中での不慮の死(自宅の階段からの転落、入浴中の溺死、食事中の誤嚥など)原則、告げなくてよい原則、告げなくてよい
上の死以外の死が発生した、または特殊清掃等が行われた上の死が発覚して、概ね3年が経過した原則、告げなくてよいこの項目はなし。期間の目安は示されていない
隣接住戸、または日常生活で通常使用しない集合住宅の共用部分で、自然死以外の死が発生した、または特殊清掃等が行われた原則、告げなくてよい原則、告げなくてよい

注意点が三つあります。

  • 自然死や日常生活の中の不慮の死でも、長期間人知れず放置されて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、告げなくてよい扱いになりません。
  • 2番目と3番目は、事件性、周知性、社会に与えた影響が特に高い事案には当てはまりません。
  • 売買には、賃貸の3年のような期間の目安がありません。アットホームの記事も、3年は売却には当てはまらないとしています。

告げるときの内容と、問われたとき

上の三つに当たらない場合は、買主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときに、告げる必要があります。

戸建てと集合住宅が見える住宅地
写真: Peka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
告げる内容告げなくてよい内容
事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因(不明なら不明であること)、特殊清掃等が行われた旨氏名、年齢、住所、家族構成、具体的な死の態様、発見状況

告げるときは、トラブルを防ぐために書面の交付などが望ましいとされています。

例外として、買主から事案の有無を問われた場合は、経過した期間や死因に関わらず告げる必要があります。社会的な影響が大きく、買主が把握しておくべき特段の事情がある場合も同じです。

売主が事案の有無を不明と答えた場合や、答えなかった場合は、その旨を告げれば足りるとされています。地震などの大規模な災害で、死が生じたかどうか明らかでない場合も同様です。

売主が確認すること

ガイドラインでは、媒介する不動産会社が、売主に告知書(物件状況等報告書)への記載を求めるとされています。事案を故意に告げなかった場合は民事上の責任を問われる可能性があると、売主に伝えることが望ましいとも書かれています。ここから、売主が確認する点を挙げます。

沖縄の県道の終点
写真: Kugel / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
  • 物件で起きたことを、時期、場所、死因、特殊清掃の有無まで整理します。分からない点は分からないと伝えます。
  • 告知書には、知っていることを正確に書きます。書かれなかった事案が後で分かった場合も、不動産会社に重大な過失がなければ調査は適正とされます。責任の話は売主に残ります。
  • 買主に問われたら、期間や死因に関わらず答える必要があります。
  • 契約後、引渡しまでに事案を知った場合も、告知義務があるとした裁判例があります。ガイドラインはこの点に留意するよう求めています。
  • 建物を取り壊した後の土地の取引は、ガイドラインの対象外です。アットホームの記事は、更地にしても告知義務は原則として残るとしています。
  • 契約不適合責任(民法562条・566条)の扱い。買取では免責される場合があるので、契約書を読みます。免責の特約があっても、知りながら告げなかった事実については責任を免れません(民法572条)。

価格の目安も資料で見ておきます。アットホームの記事は値引き幅の目安として、自然死で1〜2割、自死で2〜3割、他殺などで4〜5割と書いています。これは同社の説明で、自然死は原則として告げなくてよいというガイドラインの扱いとは別の話です。あくまで参考値で、人によって受け止め方は違うと断っています。買取は市場価格の7割ほどが目安で、事故物件ではさらに低くなることがあるとも書いています。

告げるかどうか迷う事案は、自分で判断せず、不動産会社に事実をそのまま伝えて相談します。

売却を決める前に、事故物件の売却経験がある不動産会社と、弁護士に相談してください。複数の会社の査定を比べることも大切です。

出典

確認日: 2026年11月2日。ガイドラインや各社の記事は更新されることがあります。

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